第25話



サー……



と俺の顔から血の気が引いた。



そ…そうだった……





結婚、そして離婚の事実で俺はすっかりそのことを忘れていた。





『もう二度と恋なんてしない』




とも言っていた。




まあマックスとの過去話を聞いたらそう思うのも当然だと思うケド……




柏木さんとそうなることの前提として、




俺たちの間の取り決め……ルールが存在している。






はぁ




大きくため息を吐きながら俺はビールのジョッキに口付けた。




「ま、まぁそう気を落とすな?何とかなるよ」



「そうそう、何て言ったって四六時中一緒に居るわけだし?あんたにも良いところがあるってその内柏木さんだって気付くわよ」



くっそぅ



人ごとだと思って言いたい放題。



「お前らはいいよな~毎日顔合わせて、おまけにラブラブだしぃ」



ちょっと拗ね気味に言って、俺はいじいじとテーブルの上で指をこねくり回した。



そんな俺の様子を見て二人はまたも同じタイミングで顔を見合す。



も~いいよ、勝手にやってくれ…




「とは言っても社内恋愛ってなかなか難しいのよ~」



と綾子がちょっと苦笑しながら俺の肩に手を置いた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る