第4話

でも、渉さんにとって私は義理の妹でしかなかった。

私は今日…渉さんの結婚を機に、この想いを断ち切ろうと思っていた。


挙式の時間が迫って来る。


「そろそろ時間だな…」

お義父さんがソファを立った。


渉さんの父親である繁さんのことはお義父さんと呼べるのに。


渉さんは最後までお義兄ちゃんとは呼べなかった。


「行くわよ…佑月」


「うん」

私も椅子から腰を上げた。


「また後で…」

渉さんはにこやかに手を振って、出ていく私達を見送った。


口許の微笑には至福の欠片が零れていた。

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