第83話

「それはないかなぁ、多分」



「……どうしてですか」



「んー。勘、かな」



そう答えてニコリと浮かべた笑顔は、右京にはなんだか胡散臭く見えた。



「早く告白しないと、俺が先にするかもしれないですよ」



……そんなことはきっと美紅が望んでいないだろうから、今はまだ告白なんてしないけれど。



でも、振られるのは分かっていても、いつかはきちんと美紅に伝えたいと思っている。



右京の言葉に、武巳は今度はニヤリと笑って、



「何て振られたのか、後でちゃんと教えてくれよな」



そんな意地悪を言い放った。



「……」



ちょっとだけ、



(美紅はこんな意地悪な男のどこがいいんだ!?)



と思ってしまったのは、美紅と武巳には内緒である。

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