第61話
「右京先輩って、結構分かりやすいよね」
ローファーから上履きに履き替えながら、カカカと愉快そうに笑う天野を、
「……私には、天ちゃんの言ってることがよく分かりません」
美紅も同じように靴を履き替えながら軽く睨んだ。
自分たちの教室に向かってダラダラと歩きつつ、
「右京先輩にここまでされて、それでも先輩を好きにならない間宮の方が、私は凄く不思議だよ」
「それは……感謝はしてるけど、私にはずっと前から好きな人がいるし」
出される話題は、引き続き右京のこと。
「じゃあさ。もし今、間宮に好きな人がいなかったとしても、先輩のこと好きにならない?」
「それ、は……」
美紅が、それはどうなんだろう、と心の中で思った丁度その時、自分たちの教室に着いた。
お互いに真っ直ぐ自分の席に向かい、机の上に鞄を下ろす。
スマホの通知音をマナーモードに切り替えようとして、鞄から取り出して画面を開くと、そこには武巳からのメッセージが届いていた。
一瞬、右京から早速連絡が来たのだと思ってドキッとしてしまった美紅は、
(何だ、武巳か……)
ついそう思ってしまい、
(えっ……?)
武巳のことをそんな風に思ってしまった自分に驚いた。
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