「大事にされてるなぁっていうのは、凄く自覚してるよ」

川上のその言葉に、右京は安堵（あんど）の溜息をつきかけて、

「でもね、右京くん」

川上に鋭く睨み付けられて、吐き出しかけた息を止める。

「“大事にする”のと“大事に想う”っていうのは、全くの別物だからね」

「……っ」

核心を突かれて、右京は言葉に詰まった。

「右京くんは私を大事にしてくれてるけど、私が望んでるのは“大事に想われる”ことなの」

「……」

「右京くんが……他の人のことを凄く大事に想ってるっていうのも、私は知ってるよ」

「……！」

川上を抱く右京の腕がびくっと強ばってしまい、彼女は右京が珍しく動揺していることに気が付いた。

右京が自分を冷静に保てなくなるくらいに誰かに溺れているなんてことは、彼だけを見つめ続けてきた川上には手に取るように分かる。

最初から、右京との両想いなんて諦めてはいたが、こうも分かりやすく態度に出されると、

「絶対、別れてあげないから」

意地悪くらい、してやりたくなる。

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