第44話
だから、
『別れた時に面倒だから、同じ学校のヤツとは付き合わない』
と適当に言い出したのが、ことの始まり。
それを真に受けて実行に移した川上には流石の右京も驚かされたが……
彼女の気が済むまで、又は彼女が自分に飽きてくれるまで、彼女の望むままにしてやろうと決めた。
どうせ、自分は本当に好きな人と結ばれることはないのだから――
それならいっそのこと、このままクズだろうが女の敵だろうが、何にだってなってやろうと思った。
「……ねぇ。右京くんってさ、私のこと好きってちゃんと言葉にしてくれたことないよね?」
「……」
彼女と関係を持つようになって約一年が経過したが、右京はその話題を意図的に避けてきていた。
たとえ嘘でも、それだけは言ってはいけない気がしていたし……右京自身、どうしても言いたくなかったから。
最低って言いながらビンタでも食らわして捨ててくれるのを待っているのだから、これ以上彼女に変な期待をさせて傷付けるのは良くないと分かっている。
「右京くんにとって、私って何?」
彼女の瞳が潤み始め、右京は焦る。
「……ちゃんと、大事にしてるだろ」
気持ちがないのに抱いている時点で大事には出来ていないのだろうけれど、彼女がそれを望むから。
彼女の望むものは、“好き”という言葉以外は全部、惜しまず与えてきたつもりだ。
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