第23話
「噂で聞いたことない? どうしても右京先輩と付き合いたくて、わざわざ他校に編入した
「聞いたことはある、けど……」
美紅たちが入学してくる前にそういう先輩がいたらしいという話は、美紅も何度か聞いたことがあった。
同じ学校の生徒とは絶対に付き合わないという右京に合わせて、この高校からそんなに遠くない私立の高校に編入したらしい、と。
「その川上先輩と右京先輩が、2人でアクセサリー選んでたの」
「……そりゃあ、付き合ってるのなら、デートくらいするかもね」
美紅はとりあえずそう答え、ノートの上で止まったシャーペンをまた走らせる。
「私が言いたいのは、ちゃんとカノジョがいるのに間宮にちょっかい出すのはおかしいってこと」
天野の不満そうな声に、
「でも私たち、全然そういう仲じゃないし」
美紅はあくまでただの先輩と後輩だと主張。
「間宮はそうでも、あっちの態度が全然そういう感じじゃん!」
「……」
美紅はまたシャーペンの動きを止めた。
考えてみれば確かに、自分が川上先輩の立場なら、美紅のような子に必要以上に絡むことはして欲しくないと思うだろう。
「右京先輩ってイケメンだけど何考えてるか全然分かんないし、気を付けた方がいいって!」
「……そうだね。ありがと、気を付ける」
武巳への恋に溺れている美紅が、右京に惹かれるなどありえないことではあるが、美紅はとりあえずそう頷いておいた。
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