第18話
学校の最寄り駅で電車を降りて、そこから二人並んで学校を目指して歩く。
はぐれる心配がある時は手首を掴まれるが、その心配がなくなった時、右京は少しだけ美紅と距離を置く。
黙って歩く彼の横顔を見上げながら、美紅はずっと気になっていたことを訊ねることにした。
「先輩……今日はなんで、あの駅にいたんですか?」
「昨日のお前が、朝から元気がないように見えたから。朝の電車で嫌なことがあったのかと思ってな」
確かに昨日の朝は、美紅は知らないオジサンから痴漢被害に遭っていた。
怖くて声も出せず、でもそのオジサンはすぐに電車から降りて行ったので、触られていた時間もそんなに長くはなかったから……気にしないようにしていた。
「美紅は誰の目から見ても可愛いから、心配なんだ」
そう言って、誰の目から見ても美しすぎるこの男は、困ったように笑いながら美紅の頭を優しく撫でる。
これが、校内で“高嶺の花”と呼ばれている右京でなかったら、流石の美紅も彼に好意を持たれているのではと勘違いをしたかもしれない。
けれど、美紅は知っている。
この右京という男には、彼だけの恋愛ルールがあるということを。
『同じ学校に通う女には、絶対に手は出さない』
というルールを。
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