第19話
それはつまり、他の学校にはそういう相手がいるという意味で。
他校に彼女がいるという噂も、美紅は何度も聞いたことがある。
でもそれはあくまでも“噂”にしか過ぎなくて、本人の口からは聞いたこともない。
もし本当に他校に彼女がいるのだとしたら――毎日美紅と共に登下校なんてしないんじゃないかと思うし。
だから、その噂が本当だったとしても、今は偶然そういう相手はおらず、暇なので美紅に構ってきているだけなのだと。
美紅はなんとなくそう決めつけて、右京本人に訊ねることもしなかった。
右京から想いを寄せていると言われたこともないし、美紅自身にも、他に好きな人がいるから。
だから、別に今は右京の行動の理由をはっきり知りたいとも思わないし、興味もないから。
だが、美紅のこの判断が後に自分自身を苦しめることになろうとは、この時の彼女はまだ知る
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