第14話
「今日はカットじゃなくて、ヘッドスパだから!」
両手を合わせて懇願してくる武巳に、
「分かったよ」
仕方ないなぁという態度を取りながらも、大好きな彼と過ごせるのだと思うと、美紅は嬉しくて仕方がなかった。
店内のシャンプー台に案内されて、そこに座りながら、
「やっぱ美紅の髪って綺麗だよなぁ」
武巳にそんな風に褒められて、美紅は嬉しくなる。
でも、
「ちゃんとアレンジして、メイクもしたら絶対にもっと可愛いのに」
誰からもよく言われるその言葉に、美紅は思わず俯いた。
「折角の美人なんだからさ、勿体ないよ」
「武巳は、ちゃんとお洒落してる女の子の方が好き?」
「うーん。何ていうか……美紅は元がいいからさ。美容師としてはもっと上に行かせたいって思うというか」
「……そう」
結局のところ、彼は美容師として、美紅をダイヤモンドの原石くらいにしか見ていないのだ。
「美紅にも好きな人とか出来ると、そういうのしたいって思うようになるかもね」
武巳は呑気にヘラヘラと笑いながら、美紅の髪を丁寧にシャンプーで洗う。
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