第87話

ソファーに腰をかけたナオくんの膝の上にまたがって、向かい合うようにして座らされた私は、



「ゆづ……!」



「……っ、はぁ……」



ナオくんの首に両腕を回してしがみついて、座った姿勢のまま下から激しく突かれていた。



ここが明るいリビングだから恥ずかしいとか、そういう感覚は既に麻痺している。



ただひたすらに、ナオくんから与えられる快楽に身を委ねて、ナオくんの体に寄りかかるようにして必死にしがみついていた。



ろくに息も出来ない程激しい行為の最中、それでもナオくんは私の唇を塞ごうとする。



「ナ、オく……苦し……」



顔を背けて彼からのキスを拒絶すると、不意にナオくんは動きを止めた。



「……俺はゆづとエッチしながらキスするのすげぇ好きなんだけど。ゆづは嫌?」



「……」



嫌とか、そういうんじゃないんだけど。



こんなにキス魔なナオくんが“女友達”とのキスを拒んでたなんて、今でも本当に信じ難い。



「ゆづー? キスさせて」



珍しく甘えた声を出すナオくんに、この私が逆らえるはずもなく――



「……んっ!?」



唇が軽く触れ合っただけなのに、その瞬間に私の中でナオくんのそれが更に大きく反応したのが、感覚で分かった。

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