第74話

何か、ナオくんの気に障るようなことでもしちゃったのかな……?



「ナオくん……?」



ナオくんの目を恐る恐る覗き込むと、



「……寝バックでしていい?」



獰猛な目をしていたはずのナオくんが、不安そうに私の目を見つめ返す。



「……ねばっく、って何?」



何の話をされているのか全く分からなくて首を傾げると、



「……うつ伏せに寝てみて」



一瞬だけ呆れた眼差しをしたナオくんはぼそりとそう告げた。



素直に従った私に、



「――っ!?」



ナオくんが後ろから挿入してきて、その初めての感覚に、私はまた声にならない悲鳴を上げた。



ナオくんは、今度はゆっくりと腰を動かし始める。



「あっ、やば……すげぇ締まる」



ナオくんの気持ち良さそうな溜息を聞きながら、私はベッドのシーツをぎゅっと強く握り締めた。



気を抜くと大きい声が出そうになるので、枕に顔を埋めて必死に耐える。



「……つらい?」



「……っ」



大丈夫、と言いたいけれど言葉が出てこなくて、枕に顔を埋めたまま首を横に振った。



「このまましてていい?」



ナオくんの懇願するようなその質問には、



「……っ」



やっぱり口を開けば変な声が出そうなので、こくんと頷くだけになった。

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