第72話

諦めていたところで、急にそんな雰囲気になっても……



これからするんだ、と改めて思うと、物凄く恥ずかしくなってくる。



ただ見つめ合うだけの時間がしばらくの間続いて――



「あんまり焦らされると、優しく出来なくなるんだけど」



ナオくんの熱の籠った瞳が突然、鈍い光を放つ獰猛どうもうな眼差しへと豹変した。



「……!」



この目つきは、今までにも時々だけど見たことがある。



ナオくんのこの目に見つめられただけで、全身が熱を帯びたように熱くなってくる。



「ごめん、ゆづ。もう我慢出来ない」



ナオくんは苦しそうに呟くと、私のパジャマを手早く脱がして、まだ熱く火照ったままの内側に指をそっと差し入れてきた。



「……あっ、う……」



「多分、このまま挿れても大丈夫だとは思うけど……念の為」



我慢出来ないって言っていたのに、ナオくんは私の中を丁寧に愛撫し始めた。



本当は、もっと強い刺激が欲しいのに。



「な、ナオく……あぁっ……!」



それでも簡単に達してしまう自分の体が恨めしい。



「……そろそろ、いいかな」



ベッドに力なく横たわる私を尻目に避妊具を装着したナオくんが、再び私の上に覆い被さってきた。



そして、



「やっ……まだダメ……!」



「ごめん……もう無理」



私のそこに押し当てられたナオくんのそれが、ゆっくりと中に侵入してきた。

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