第63話

「準一級? それマジで言ってんの?」



ナオくんは驚いたように目を見開いて私を見る。



「俺のことなら、大体何でも知ってるんだ?」



「あ、えと……全部じゃないけど、好きな食べ物とか漫画なら」



「ふーん」



何故か、ナオくんの瞳が一瞬だけ妖しく光ったように見えた。



「じゃあ、俺が今まで食べたものの中で一番美味いと思ったやつは何?」



「えっ? 何それ? 是非知りたい!」



思わず身を乗り出した私に、



「俺のこと何でも知ってんじゃねぇのかよ」



ナオくんは呆れたように笑いながら、私をソファーに座るように促す。



2人で並んで座って、



「ねぇ。何が一番美味しかったの!?」



それをナオくんと一緒に食べたいと思った私は、彼に答えをせがんだ。



「ゆづが俺のために作ってくれたレモンケーキ」



ナオくんの口からさらりと出てきた答えは、



「え……」



私が予想もしていなかったもので、思わず黙ってしまった。



「じゃあ、次の問題。俺の好きな人は誰でしょう?」



「えっ」



付き合っているんだから、その答えはきっと私なのだろうけれど。



でもこの状況で、自分を指差すのって何か凄く恥ずかしいんですけど!?

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