第62話
「ゆづがまだ結婚してないからって、
「……」
図星をつかれて、否定も肯定も出来ずに黙った。
「実際にその現場を見たわけじゃねぇし、俺の想像でしかないけど……」
優しかったナオくんの腕が、急に私をきつく抱き
「想像するだけでも嫌なんだ。ゆづが他の男に口説かれんのは」
「ナオくん……」
これは、ナオくんが酷いヤキモチを焼いている時の声だ。
ナオくんにそんな思いをさせたくなくて、今までの坂下さんの絡みもずっと隠しているつもりではいたけれど……
多分、ナオくんは最初から気付いていて、今までずっと一人で我慢してたんだ。
そんなナオくんの気持ちに気付けなかったなんて、
「……ナオくん検定、失格だ」
ショックのあまり、思わず心の声がそのまま漏れ出ていた。
「……ナオくん検定って、何?」
ナオくんの腕の力が緩んで、顔を覗き込まれる。
「いや、あの……えーっと……」
何と説明していいのか分からなくて口ごもっていると、
「
ナオくんの顔からは、つい先程までの不機嫌そうな表情は消えて、興味津々そうな目をしている。
「……準一級、です」
おこがましいかもとは思いつつ、自分の思う階級を正直に答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます