第60話

顎に手をやりながら、むむむ……と考え込む私を見て、



「まぁ……直人のことだから、もしかすると結月ちゃんの望む答えはくれないかもしれないけど……」



ぼそりと告げたシェフ。



その声に私が慌てて顔を上げると、シェフは私から顔を逸らしていた。



「それは、どういう……?」



「俺と直人あいつ、多分考え方が似てるから」



それは、つまり――



「えっ? ちょっとお高い電子レンジが欲しいって言いそうってことですか?」



そういう意味にしか取れなくてそう訊ねると、



「ぶっ……! いや、違うけど……まぁ、違くないかな」



突然噴き出したシェフに、そんなわけの分からない答えをもらった。



「ナオくん家の電子レンジ……まだ結構新しかったけどなぁ?」



真剣に悩む私を見て、



「ぶふっ……!」



一々噴き出しているシェフの反応が気にはなったけれど。



とりあえず、今日帰ったらナオくんに聞くんだ!



という決意を胸に、私は午後からの仕事も頑張った。

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