第45話

そして、



「わっかんねぇなぁ……」



頭の後ろで両手を組んで、伸びをするように背中を反らした。



そんなナオくんを横目に見ながら、高校のアルバムを開く。



「……爽やかイケメン俳優さんって感じ」



率直な感想を漏らすと、



「ゆづ……褒めてもおだてても、何にも出ねぇからな?」



ナオくんが呆れた声を投げつけてきた。



その声に、アルバムから隣に座るナオくんへと視線を移す。



そこには、高校生の頃の格好良さを残しつつ、更に色気がプラスされた大人なナオくんがいて。



ネクタイと胸元のボタンが少し外されて、セクシーに着崩された白シャツが眩しい。



「……鼻血噴いてもいいですか?」



「は!? なんでだよ!?」



驚いたように目を見開いて私を見るナオくん。



本当に、自分が格好いいってことを分かっていないというか……



多分、自分の容姿に興味がないんだろうなぁと思う。



自覚していないから嫌味がなくて、それが更にナオくんを格好良く見せているんだろうけれど。



「ゆづちゃん、入っていーい?」



部屋の扉がノックされて、その向こうから知佳ちゃんの声が聞こえてきた。



「なんで俺じゃなくてゆづに聞くんだよ」



ぼそりと呟いたナオくんの声が、虚しく聞こえた。

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