第44話

本棚の中に残されている本は、ナオくんが学生時代に集めていた少年漫画ばかりで。



今一人暮らしをしている部屋の本棚には、そういえば料理関係の本しかないことを思い出した。



「もしかして、その本棚にはナオくんの青春が詰まってる?」



「何だよ、それ」



ナオくんは苦笑しながら、ほら、とアルバムを差し出してくれた。



お礼を言ってから受け取って、まずは小学校のアルバムから開く。



ナオくんが小学6年生の頃、私はまだ小学3年生で、当時はナオくんのことをただひたすらに格好いいと思っていたけれど、



「かっ……可愛い!! 小学生のナオくんだー!」



大人になって改めて見てみると、そこにはとんでもなく可愛い男の子が写っていた。



「……ふーん。それは“可愛い”に分類されるのか」



私の反応を静かに見ていたナオくんが、ぼそりとそんなことを呟いて。



続いて中学生の頃のアルバム。



「わわ! もう既にイケメンが完成してる! 格好い〜!」



まだ少し幼さと可愛さを残してはいるけれど、もうほぼイケメンと呼んで差し支えなさそうなナオくんが写っていた。



「……それは“格好いい”に分類されるのか」



私の反応に、ナオくんは相変わらず何かを考え込むようにぼそりと独り言を漏らす。

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