第37話

俺の両親はと言うと、



「結月ちゃんには長い間辛い思いをさせてたんだな……」



「これからは直人のこと、どんどん尻に敷いていいからね!」



実の息子を完全に悪者扱いしている。



……いいけど別に!



世間でよくある嫁いびりとかをされるよりは、ゆづの味方が一人でも多くいるのは俺としてもありがたいから。



「ゆづちゃん、今日うちに泊まってく?」



知佳が、キラキラと期待の込めた眼差しでゆづを見て、



「お父さんとケンカ中なんでしょ? 気まずかったらうちにいてくれていいのよ」



母さんまでがゆづを誘った。



でも、実家に置いてきたお菓子の存在をやたらと気にしているゆづは、



「ありがとうございます。でも……やっぱり、一度家に戻ります」



丁重に頭を下げていた。



「直人さんの車も、モノ質に遭っているので取り返さないと」



「いや、あれは勢いで置いてきちゃっただけだから」



どのタイミングで車を取りに戻ろうか悩んでいたから、ゆづの提案はありがたいけど。



「大丈夫か?」



俺の実家を出て、すぐ近くのゆづの実家へ向かう途中で訊ねると、



「あのクソオヤジ、絶対に許さない」



俺の家族の反応と比べたのだろうか。



ゆづの目つきがさっきよりも鋭くなっているような気がするのは……気のせいだと思いたい。

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