第23話
「な、ナオく……」
感動で目を潤ませる私の頭を、
「俺と一緒に店開くんだろ? デザート担当さん」
ナオくんがふわふわと優しく撫でてくれた。
「うぅ……ナオくん」
「あー、もう。ただでさえ昨日からずっと我慢してるのに、朝からそんな可愛い顔されたら抑えられなくなるだろ」
ナオくんはそう言って、私の唇に優しい口づけを落とす。
唇が軽く触れ合うだけのキスなのに、それだけで全身が火照ったように熱くなった。
赤くなってしまったのが、鏡を見なくても分かる。
「……俺のこと、わざと煽ってる?」
「ナオくんがキスするからじゃん……」
布団を引き上げて口元を隠す。
そんな私を布団ごとぎゅっと抱き締めたナオくんは、
「ゆづのこと、可愛い、好きって思ったらついしたくなるんだよ」
またいつものふんわりと優しく甘い笑顔を私に向けた。
その笑顔を見て、ふとあるスイーツが思い浮かんだ。
「あ……わたあめ」
ナオくんが私にこの笑顔を向ける度に、何かに似ているとずっと思っていたけど、それが何か思い出せなかった。
そっか……ふわふわ優しくて甘い、わたあめに似てるんだ。
「え? わたあめ食いたいの?」
不思議そうな顔をするナオくんには、とりあえず事情を説明して、
「パティシエ目指してる割には随分と庶民的なお菓子を思い浮かべるんだな」
やっぱり、わたあめみたいな笑顔を向けられた。
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