第20話

――ピピピピピ……



自分のスマホで設定したアラームの音で目が覚めた。



左腕を音のする方へ伸ばして、手探りでスマホを探し当てて掴む。



まだ寝ぼけたまま、それでも必死にアラームを止めて――



スマホを掴んでいる左手にふと違和感を感じて、慌ててそれを右手に持ち替えて左手を見た。



まだ薄暗いので、スマホの画面の光を当ててやっと見えたそれは、昨日ナオくんからもらった婚約指輪。



……夢じゃなかったんだ。



心のどこかで、現実ではないんじゃないかと疑っていたから。



――本当にナオくんのお嫁さんになれるんだ、私。



ちらりと隣を見ると、昨夜と変わらず私に腕枕をしたまましっかりと抱き締めて眠るナオくんの綺麗な寝顔があった。



起きている時と比べて少し幼く見える可愛い寝顔を見ていると、なんだか保護欲が湧いてくる。



この人のために、何かしてあげたいと思ってしまう。



ナオくんの花嫁さんになるべく、まずすべきことは……



美味しい朝ごはんを作って、ナオくんを誘われるようないい匂いで起こしてあげること。



私の花嫁修業第一段階はこれに決めた。

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