第15話

「今まで辛くさせた分以上に、絶対にゆづのこと幸せにするから」



「……うん」



やっと出た短い声は、涙と鼻水でぐずぐずだった。



「ドロドロに甘やかすから、ゆづも遠慮なく俺に甘えて」



そんなナオくんの言葉は、余計に私の涙と鼻水を誘う。



ナオくんの胸に抱き締められているせいで、



「……ナオく……ごめ、ん……シャツに鼻水が……」



ナオくんのシャツを汚してしまった。



「あ」



少しだけ驚いたように目を見開いたナオくんは、



「あはは、ぐしょぐしょだな」



テーブルの上に置いてあったティッシュで私の涙と鼻水を拭いてくれた。



「もう風呂も沸いてるから、入ってくるか?」



この人は、どこまで完璧に私に尽くしてくれるつもりなんだろう。



「ううん……先にスープ飲む」



折角の美味しいスープを残して入浴するなんてありえない。



「そっか。でも、その前に」



ナオくんがテーブルの上に置かれた箱からそっと指輪を抜き取って――



「絶対ゆづのこと幸せにするって誓う」



私の左手の薬指に、するりとそれを嵌めた。

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