第11話

それから職場では締めの日までは淡々と過ごした。

プライベートというのもおこがましいが、rioが新しい挑戦をした。

おもちゃを購入したのだ。クリを刺激するおもちゃだそうだ。俺もバイブやローターは知っていたが、初めて見るものだった。いや、正確には他の女性のチャットで見たのかもしれないが記憶にはない。違うところを見ていたのだから。

「今日は皆にプレゼントしてもらったコインでおもちゃを買いました。ありがとうございます。少しだけ使うの怖いけど、が 頑張って使います。刺激が強過ぎたらごめんなさい。やめるかもしれません。チャットと繋がってますので、メニューで選んでrioを感じさせてね。ショーツの中に入れますね。アッ もう ブルブルしてる。すぐ使ってくれて嬉しいです。アッまた ブルブルしてるぅ rio我慢できるかな。心配です。アァン なんかブルブル長いよ。ウムムンン 恥ずかしい 声出ちゃいそう

あんまり続けてイジメないで」

俺はrioから目が離せなかった。皆にイジメられて感じてる姿に興奮した。恥ずかしがりながら魅せる痴態に頭が沸騰した。初心だと思っていた女性の乱れる挑戦は俺の心をかき乱す。人として惹かれた。今女性として惹かれてる。触れたい。俺の手で感じさせたい。風呂の時間を忘れて見入っていた。

気づけば終わっていた。熱かった。俺の心が熱くなった。一人の女性として意識してしまった。またrioで俺は変わった。rioが最初にくれた種が今発芽した。大事に育てたい。実際に会えるわけではないから花は咲かない。それでも大事に育てるんだ。見守り続けることで。ットディi love you  が始まった。

締めの日を迎えた。店長や社員さんパートさんに最後の挨拶をした。皆、畑違いから来た俺をやさしく教えてくれた人たちだ。特に店長には感謝の気持ちを込めて挨拶した。遊びに来てもいいですかと聞いたらいつでも来いと言ってくれて泣きそうになった。

明日は休みで生活のリセットにあてる。と、いっても掃除洗濯など家事をしてYシャツやスーツの汚れやほころびのチェックだ。なんたってモブおじさんだからな。初日くらいはパリッとしたいもんさ。そう思いながらも家についてすぐ座って発泡酒を飲んだ。一人お疲れさん会だ。三年食わせてもらった感謝をしつつ飲む発泡酒はいつもと違う味がした。気分の問題だな。ここのところ楽しいんだ。恋をするとそんなもんなんだな。五十過ぎで、そう思う自分が恥ずかしいが、偽ることもない。人生前向きになれたから楽しい。単純なことなのさ。グダグダ減らせばいいだけ。今は発泡酒が美味い。そしてrioに会いたい。シンプルで行こう。

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