第91話
……いやいやいや。
もし『ナオくん検定』なるものが存在すれば、私は準一級くらいは合格出来るレベルでナオくんのことはよく知っている。
そんな私が、ナオくんを見間違えるわけがない。
さっき見かけたあの人は、間違いなくナオくんだ。
でも……ナオくんの尾行を始めた時から今の時間まで、まだ一時間も経っていない。
ホテルを出てすぐに私に連絡をくれたのだとしても……ホテルの滞在時間は30分も経っていないのでは?
ナオくんに抱かれたことなんてまだ1回しかないけれど、でもそんなにさっくりと済ませてしまうような人ではない。
……でも今思うと、あれは私が初めてだったからじっくり時間をかけてくれただけで――
もしかすると、さくっと終わらせるのがナオくんの本当のやり方なのかもしれない。
だったら、やっぱりホテルに入っていったのは、ナオくん……?
あれ? でも、仕事は?
準一級レベルの私にはまだ、一級レベルのナオくんの問題なんて解けるわけがなくて。
そんなことに頭を悩ませていると、気付けばそのままナオくんのメッセージは既読スルーしてしまっていた。
こんなに泣き腫らした目で人前に出ることも出来ないので、お店に食べに行くという約束も……
結局この日は、やめておくことにした。
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