第68話

でも今感じている痛みは、それら以上に強烈なもので、



「ゆづ……!」



ゆづの顔を思い出せば思い出す程、どんどん苦しくなっていく。



――あぁ、俺はゆづのことが好きなんだ。



それも、舞に対する気持ち以上に。



そんなことに今更ながらに気が付いて、我に返った時には、いつもよりお洒落をしたゆづを、俺の部屋に連れ込んでしまっていた。



別に、ゆづに何かをしようだなんてそんなことは全く考えていなかったのに。



可愛くラッピングされた手作りのアイシングケーキを見て――



なんでゆづは、俺にもしてくれたことのなかったことを、顔も知らない男にはしようとしたのか。



そう思うと、もう我慢の限界だった。



寝室に引きずり込んで、無理矢理に押し倒したベッドの上で、



「……っ、あ……」



俺の腕の中で痛そうに涙を流しながらも、時々気持ち良さそうな喘ぎ声を漏らすゆづを――



堪らなく愛しいと思った。



「ゆづ……好きだ」



そんな言葉、セフレにはベッドの上でもかけたことはない。



俺の本心からの言葉を素直に伝えたつもりだった。



「……あ……んっ……」



でも、ゆづは苦しそうな吐息を漏らすだけで、俺の言葉に答えてくれることは一度もなかった。

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