第63話

「えっ? なんでナオくんが……?」



わけが分からなくて、混乱する頭を抱えてナオくんを見上げると、



「なみま おとや。よーく考えて、一文字ずつ並べ替えてみ?」



何故か物凄く不機嫌そうな顔をしているナオくんと目が合い、私は慌てて俯いた。



それから、ナオくんに言われた通りに考えてみる。



「あっ……」



“なみま おとや”



並べ替えると、



“まみや なおと”



になる。



「なんでナオくんがマッチングアプリなんて……」



ナオくんにはそんなもの、必要ないはずなのに。



そうまでして、セフレを増やしたかったの?



「お前こそ、顔も素性も分からねぇ男と簡単に会おうとして……何考えてんだよ」



そう吐き捨てたナオくんは、やっぱり見たこともないくらいに怒っていて……



それが凄く怖くて抵抗も出来なくて――



気が付いた時には、無理矢理車に乗せられて、ナオくんのアパートの部屋に連れて来られていた。

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