第59話

「えっ!? いや、あの……」



慌てる私に構わず、



「どれどれ、どんな人?」



丼をトレーの上に置いた梨乃ちゃんは、私のスマホを横から覗き込んでくる。



「ふーん……」



梨乃ちゃんは、やっぱり意味ありげにニヤーッと笑う。



「いいんじゃない? とりあえずやり取りだけでも」



「……もし会いたいって言われたらどうしたらいいの?」



「結月が嫌だと思うなら断ればいいし、会ってみたいなら会う約束取り付ければいいだけじゃん」



簡単そうに言ってくれるけど、そんな感じで本当にいいのだろうか。



「まっ、相談ならいつでも乗るからさ」



梨乃ちゃんがそう言ってくれたので、困った時はまた梨乃ちゃんに頼ることにして、



「じゃあ……やり取りだけ」



私はアプリを通じて“乙矢さん”にメッセージを返信した。

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