第51話
ナオくんと2人で朝食を作って食べて、後片付けまでを一緒にした私は、
「本当に送ってかなくて大丈夫?」
「ありがと。ここで大丈夫だから」
玄関でナオくんの見送りを受けていた。
着替えとメイクをするために一旦自宅アパートに帰宅すると言った私に、ナオくんは車で送り届けると申し出てくれたけど。
もうこれ以上、ナオくんに迷惑をかけたくはなかったから。
「あの……ゆづ」
帰ろうとした私を、ナオくんが慌てて呼び止めた。
「今度はゆづの食いたいもの、何でも作ってやるから……また来いよ」
寂しそうに私を見つめるナオくんに、私はまた戸惑ってしまう。
「うん……ありがと」
お礼を言うのだけでもう胸が苦しくなって、精一杯だった。
ナオくんの暮らすアパートを出て、
「ねぇ。ちょっといい?」
アパートの敷地を出てすぐの所で、知らない女性に声をかけられた。
年の頃は恐らく20代前半頃で、金髪のボブが似合う、とても美人な人だった。
「あなた、もしかして……今まで直人の部屋に泊まってた?」
彼女の口から“直人”という名前を聞いて、反射的に体がびくっと震えた。
「は、はい……」
私がびくびくしながら小さく頷くと、
「あなた……直人の部屋で抱かれたの?」
目の前の美女が、険しい表情で腕組みをした。
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