第50話
「……!?」
何かの聞き間違いかと思った私は、大きく目を見開いてナオくんの顔を凝視した。
そんな私の顔を見て、ナオくんは更にふわりと優しく微笑む。
「ゆづ、可愛い」
「……っ!」
初めて見るナオくんの表情に、バクバクしていた心臓が止まりそうになる。
こんなに甘い雰囲気のナオくんなんて……私は知らない。
いつかナオくんに彼女が出来た時、彼が相手の女の子にどんな表情を見せるのかとか、どんな甘い言葉をかけるのかとか、妄想してみたことはあったけれど。
想像を遥かに超える甘さを持ったナオくんに、
……恋人でも何でもない女を相手に簡単にそんな表情を見せるのかと思うと、酷く落胆させられた。
もしかすると、他の“女友達”にはよく見せている当たり前の
“可愛い”なんて、彼にとっては挨拶程度の言葉なのかもしれない。
「……ゆづ?」
不思議そうに私の顔を覗き込むナオくんに、
「……」
先程までのトキメキやドキドキは、もう何も感じなかった。
私が上体を起こそうとすると、ナオくんは慌てて私の上から体を
「朝ごはんの用意……私も手伝う」
なるべく平静を装ってナオくんの顔をちらりと見ると、
「じゃあ一緒に作ろっか」
ナオくんは、特に気にした様子も見せずに笑顔で頷いた。
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