クズとセフレとキスフレと

第46話

なんとなく重く痛む頭を抱えたまま、重い瞼をゆっくりと開ける。



「……」



すぐ目の前にあるナオくんのイケメンな寝顔を見て、



「はぅあ……!?」



咄嗟とっさに変な悲鳴を上げてしまい、慌てて両手で口を押さえた。



「……」



ナオくんは、起きた様子もなく静かな寝息を立てている。



私はホッと安堵の息をつくと、そのままじっとナオくんの寝顔を眺めてみた。



サラサラの黒髪に長い睫毛、キメの細かい綺麗な肌に、少し薄めの形のいい唇――



この唇と、私は2回もキスをしてしまったのか。



そう思うと、何だかむず痒くなってくる。



しっかりと私を抱き締めてくれているナオくんの温かい体温が、とてつもなく居心地が悪いもののような気がしてきた。



(は、恥ずかしい……)



もしもナオくんが目覚めたら、どんな顔をしてどんな声をかければいいのか。



そんなことを悩みながら、それでもナオくんの整った顔をガン見していると、



「……ふっ」



眠っていると思っていたナオくんが突然噴き出し、その体が小刻みに震え始めた。



もしかして、笑ってる……!?



「……この距離でそんなに見つめられるとすげー気まずいんだけど」



「はぅ……!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る