第40話

ゆづが影で“ビッチ”だと言われているのは、俺も何となくだけど知っていた。



でも、ゆづの性格上、それはないなとも思っていて……



俺のセフレになりたいだなんて言われた時は、あの噂は本当だったのかと正直がっかりした。



それならそれで、1回抱くくらい別にいいかとも思った。



それが……まさか、キスすらも未経験だったなんて、想像もしていなかった。



そもそも俺は、セフレ相手にキスなんか絶対にしないのに。



何故あの時ゆづにキスをしてしまったのか、それは自分でも分からない。



ただ一つだけ確かなことは――



あの時の俺は、ゆづとキスがしたいと本気で思ってしまっていたということ。



俺が過去にキスをしたことがあるのは――実は舞だけだ。



舞に彼氏が出来そうになった時、焦って無理矢理にしただけだけど。



あの時は舞に思い切り泣かれて、物凄く後悔した。



だから――キスなんかもう誰ともしないと決めていたのに。



それなのに……



ソファーで眠っているゆづを見た俺は、またキスをしたい衝動に駆られそうになっていた。



この間泊めた時と同じように、俺が風呂から上がると既にゆづはリビングのソファーで眠っていて。



ちゃんとベッドを使えと伝えておいたのに。



こんな所でそんな無防備な寝顔を見せられたら――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る