第38話

そのまま立ち上がったナオくんに、いつかの時みたいにバスタオルを投げつけられた。



「今日は風呂沸いてるけど、酔ってるから長風呂は禁止な」



相変わらず私の方を見てくれないナオくんに、急激に寂しさを感じる。



「ナオくん……なんでそんな壁の方を向いて喋るの?」



「……っ、いいから酔っ払いはさっさと風呂入って大人しく寝てろ!」



やっぱりナオくんは壁を向いたまま、声だけで私を怒鳴りつけた。



「……」



さっきまであんなに優しくしてくれてたのに。



ナオくんの態度が変化した理由が――



ナオくんの気持ちが全く分からなくて、とてつもなく不安になる。



「……じゃあ、お先にお風呂頂きます」



「ん」



無視されるかと思ったのに、一応反応はしてくれる。



本当に、ナオくんの考えていることが、この時の私にはさっぱり分からなかった。

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