第21話

恥ずかしい気持ちを抑えながら、ナオくんに言われた通りに洗面所で顔を洗って、キッチンに向かう。



「あの……私も手伝う」



恐る恐る声をかけると、



「じゃあ、味噌汁のお椀テーブルに運んで」



ナオくんは、ふわっと柔らかく微笑んだ。



やっぱり、昨夜のことは夢だったのだ。



優しいナオくんがそんな酷いことをするわけがないもんね。



ナオくんから味噌汁の入ったお椀を受け取って、それをテーブルに運びながら、



「昨日、私をベッドまで運んでくれたりした?」



どこまでが現実でどこからが夢なのか、もう今の私には判断が出来なくて、そう訊ねた。



昨日のことが夢なら、多分私は途中で寝落ちでもしたのかなと思ったから。



訊ねた瞬間、お茶碗にご飯をよそっていたナオくんの動きがぴたりと止まった。



「……俺がシャワー浴びて出てきたら、ゆづがねたようにソファーで寝てたから」



「……」



あ、れ……?



「本当はゆづをべッドで寝かせて、俺がソファーで寝るつもりだったから」



お茶碗としゃもじを手にしたままのナオくんが、私を振り返ってじっとこちらを見つめる。



ということは……やっぱり、夢じゃなかったってこと……?

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