第18話

「ゆづ……?」



ナオくんの手が、私の頬に向かって伸びてきて、



「やや、やっぱり! 先にドライヤー借りるね!」



私はくるりときびすを返して洗面所に駆け戻った。



ドライヤーのスイッチを入れて、



――ブォォォーッ



という音を聞きながら、この後どうするべきかを必死に考える。



考えて考えて……



どうするも何も、どの道あとはこのまま寝るだけじゃん?



ということに気が付いた。



そうだ、だって……ナオくんにセフレ失格だって言われたし。



ナオくんがシャワーを浴びてる間に、さっき彼が用意してくれていたソファーで寝てしまえばいいじゃん。



そうと分かれば話は早い。



リビングに戻ると、ナオくんが入れ違いでシャワーを浴びにバスルームに向かう。



私はすぐにソファーの上の毛布に潜り込んだ。



この毛布もやっぱり、大好きなナオくんのいい匂いがする。



どうせ泊めてもらえるのも今日だけなら、この香りを思う存分吸って味わっておこう。



私は変態みたいだと自覚しながらも、ナオくんの毛布に顔を埋めてスーハースーハーと深呼吸を繰り返し……



いつしか、そのまま深い眠りに堕ちてしまった――

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