第16話

バスルームの中でシャワーを浴びながら、



「うぅ……ぐすっ……ひっく……」



私は思い切り泣いていた。



いつかは、振られるのを覚悟でナオくんに告白しようとは思っていたけれど。



こんなカタチで告白する羽目になるとは思ってなかったし、



何より……優しいと思っていたナオくんに、こんなに酷い振り方をされるなんて、全く想像もしていなかったから。



しかも、最初から振るつもりでいたのなら、



(なんで、あんなに優しいキスをしてきたの……?)



1回目とは比べ物にならない程に、2回目のキスは――



ナオくんに大切に想われているのではと勘違いしてしまいそうなくらい、優しいキスだった。



あんなキスをしておいて、



『……お前、もう俺のセフレ失格』



って。



恋人にしてくれないどころか、“女友達”の一員にも入れてくれないなんて。



「ナオくんのバカー! うわーんっ!」



きっとナオくんにも聞こえているだろうけれど、もう知るか。



酷い扱いを受けた腹いせに、思いっ切り泣いてやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る