第12話

「……俺がどんなに舞のことを好きでも、絶対に報われないんだから仕方ないだろ」



開き直ったように言うナオくんの目は、言葉とは対照的に今にも泣き出しそうな程に潤んでいて。



「そういうは正直いっぱいいるけど、俺は絶対に誰にも本気にはならない。女友達あいつらだって、それを承知で俺と一緒にいるんだから」



ナオくんが、どうしてそんなことをするのか全く理解は出来ないけれど……



ナオくんのことをずっと本気で想い続けている女の子は、ここにもいるのに。



最低なクズ男だということを目の当たりにしても、それでもナオくんを好きだと思う気持ちに全く変わりはない。



「ナオくんは……」



涙で詰まりそうになる声を必死に抑えてナオくんを見上げると、



「?」



ナオくんは不思議そうな顔で私を見下ろす。



「その女友達とは、縁を切ろうと思えばいつでも切れるの?」



「……俺の出した条件を飲めなかった女はすぐに捨ててきたし、もし……ないとは思うけど、舞が今からでも俺を選んでくれたら、すぐにでも全員と切るつもりだ」



結局は、ナオくんにとって大切なのは舞ちゃんだけなんだ。



だったら――



「私のことも、ナオくんのセフレにして」



「……は?」



「私、ナオくんの好みに結構近くない? 舞ちゃんに似てるってよく言われるし」



人から言われる度に、似ていて当然だろうと思っているけど。



ナオくんの気を引きたくて、わざと似せているのだから。

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