第11話

いくらナオくんが舞ちゃん一筋とは言え、めちゃくちゃモテるのは事実なので、女友達の1人や2人いても全く不思議ではない。



そんなことを相変わらず呑気に考えていると……



「言っておくけど、お前だけが特別だなんて俺は思ってないからな。俺の条件が飲めないって言うなら、もうお前とのセフレなんてやめるから」



初めて聞く、ナオくんの怒った声が聞こえてきて――



……ううん、そうじゃない。



声がどうのこうのというよりも――



今……“セフレ”って言った?



混乱する頭を抱えていると、ナオくんが扉を開けてリビングに戻ってきた。



「あ、ゆづ……」



私の存在を完全に忘れていたようで、ナオくんは気まずそうに私から顔を背ける。



「えっと……今のはその……」



「ナオくん、舞ちゃん一筋なんじゃなかったの?」



ナオくんには舞ちゃんだけだから、私のことを見てくれなくても仕方がないと思っていた。



勿論、それはそれでとてもショックなことではあるけれど……



一途だと思っていたナオくんにセフレがいただなんて、そっちの方が何百倍もショックだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る