第92話

友季は、あわあわと言葉を付け足す舞の腕の中から、まだ抱えられたままだったティッシュの箱をそっと奪い取る。



それをベッドの隅に置き、



「トモくん? ……んっ……」



舞の素の胸を右手でそっと包み込む。



綺麗な丸い膨らみの形を柔らかく崩しながら、



「……もう一回、いい?」



熱のこもった真剣な眼差しで、舞を真っ直ぐに見つめた。



「……明日も仕事で朝早いよ?」



「なるべく早く終わらせるから」



友季が姿勢を変えて、舞の上に覆い被さる。



「……そんな適当な感じでされるのはやだ」



適当にするという意味では勿論なかったのだが、舞に涙目で訴えられて、



「ごめん……じゃあ、じっくり時間をかけてするから」



友季の目つきが、より熱っぽくなった。



「あっ、待って。そうじゃなくて……!」



舞が慌てて友季から離れようとして、



「無理。もう我慢出来ない」



友季が舞の手首を両手で掴んで、ベッドへと縫い付ける。



「やっ……トモくんっ……」



「好きだよ、舞。もうめちゃくちゃ愛してる」



舞の必死の抵抗なんてものともせずに、友季は舞の唇に甘い甘い口付けを落とした――

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