第90話
昨日まで仲良くしていた友達が突然、自分のイジメの傍観者になるだなんて……
友季は苦笑いを浮かべて話してくれているが、当時は相当に辛かったはずだ。
イジメとは無縁で育ってきた舞には、きっと想像もつかない程に。
「結局、高校を卒業するまで前田には目を付けられたままだったし、専門学校に進学しても……誰も信用出来なくて、友達なんて出来なかったし……暗くなった性格と体型のせいで、就職してもイジメられたし」
もしも舞なら、そこまで人間不信になってしまったらパティシエを目指すことすら諦めたかもしれない。
その考えが、友季に伝わってしまったのか。
「俺が自分の店を持てるまで頑張れたのは、舞との約束のお陰だからな」
友季に、とてもとても愛おしそうな目で見つめられた。
「色んなことがあって今の俺がいるから……だから、舞には今の俺をそのまま受け入れて欲しいんだけど」
「トモくん……」
「今更になって言い寄ってくるような女に、俺は全く興味ない。もう舞のことしか愛せないから」
そんな友季の言葉に、舞も友季にずっと内緒にしていたことを言おうと決意する。
「トモくんが初恋相手のこと話してくれたから、私も初恋の人のこと話すね」
「えっ?」
舞の言葉に、友季の体がびくっと強ばった。
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