第85話
時は友季が高校に入学して数ヶ月経った頃に
どの部活にも所属せず、帰宅してすぐにお菓子作りに明け暮れていた友季には、実は興味のある部活動が一つだけあった。
それは、自由に調理室を使用することが出来る家庭科部。
本当は家庭科部に入りたかったが、男子部員が他に誰もいないことと、活動内容の中に友季の苦手な手芸が含まれていたことが原因で、入部を諦めた。
そんな折に、友季のクラスメイトでもあり、家庭科部の部員でもある雅が、
「お菓子が上手く作れないんだけど、教えてくれない?」
趣味がお菓子作りであることが有名になりつつあった友季のところに、相談にやってきた。
学年一の美少女だとか、女子力の塊だとか言われていた雅に声をかけられたことに友季は最初とても驚いたが、彼女の熱意に負けて調理室にお邪魔することになった。
その日以来、他の家庭科部員たちに混じって、放課後に調理室でお菓子作りをすることが日課になってしまった友季は――
ある時、雅に恋をしてしまっていることに気が付いた。
けれど、相手は学年一の美少女で、常に周りに人がいるアイドルのような存在。
地味でぽっちゃりでイケメンと呼ばれるには程遠い自分が、釣り合うような相手ではない。
そう思い、雅への気持ちを諦めようとしていた矢先――
「私、松野君のこと好きになっちゃったかも」
部活終わり、駅までの帰り道を2人で並んで歩いていた時に、雅からそんなことを言われた。
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