第79話

「シメはやっぱ、うどんが合うかな?」



そんな一言に、舞は思わずふっと笑う。



「まだメインも食べてないのに、もうシメの心配?」



「うん。早く食べたい」



そう言って舞を更にきつく抱き締める友季は、きっともう鍋の話をしてはいない。



「そっ……そろそろ食べ頃だと思うから、早く食べよ!」



頬が熱くなったのは、きっと目の前の鍋の熱気のせいだと思うことにして、舞は慌てて鍋を指差した。



「可愛い」



友季の小さく漏らした声は、



「……」



鍋がぐつぐつと煮える音で聞こえなかったフリをすることにした。

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