第78話
この日は、何故か友季が舞に泊まりにきて欲しいと言って譲らないので、舞は急ではあるが、仕事終わりにそのまま友季の部屋に来ていた。
友季がしきりに“寒い”と繰り返すので、部屋に着いてすぐにお風呂を沸かした。
友季が入浴している間に、舞は土鍋の中に刻んだ野菜や肉を入れて、鍋を作る。
寒い日の仕事終わりは、鍋に限る。
本当は一番体の温まりそうなキムチ鍋にしようかと思ったのだが、友季は辛いものが苦手らしいので、それは諦めた。
帰る途中で寄ったスーパーで見つけた『ゆずしょうが鍋の素』というものが気になったので、それに決めた。
豚肉がおすすめと書かれていたので、今日のお鍋のメイン具材は豚肉だ。
一緒に食べるのが直人だったら、鍋のスープに市販のものを使うなんて、と怒られそうだが、友季はそういうのを一切気にしない。
「あ。すげー美味そうな匂い」
バスルームから出てきた友季が嬉しそうな顔をしながら、ダイニングテーブルの椅子に座っている舞を後ろから背もたれごと抱き締めた。
そのままの姿勢で、テーブルの上のカセットコンロで加熱されている土鍋の中を覗き込む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます