第50話

「……でも、これって妬いてくれてたってこと?」



不意に舞の目を覗き込んだ友季の目には、熱がこもっているように見えて。



「え……」



寒くて毛布にくるまっていたはずなのに、友季に見つめられたその一瞬で体中が熱を帯びたように熱くなる。



「抱きたいのは我慢するけど……キスはしてもいい? 」



言いながら、舞の頬にそっと手を添える友季。



相変わらずの癖にほっとするような、でもドキドキもするような、不思議な気持ちになる。



「……」



言葉で返事はせずに、舞は黙ったまま目を閉じた。



「舞……」



友季は愛おしそうに舞の名前を呼ぶと、舞の唇を優しく奪う。



優しく触れ合っては離れ……を何度か繰り返すと、そのまま舞の唇を自分の唇で挟むようにして優しくついばんだ。



薄く開いた舞の唇の隙間に、友季はすかさず舌を滑り込ませて、舞を深く絡め取る。



「……ん……」



途端に力の抜けた舞の体を、友季がソファーの上で優しく押し倒し、その上に覆い被さった。



欲を抑え込もうとしながらも、噛み付くようなキスを浴びせる友季の体が、舞の下腹部に当たり――



毛布を隔てていても分かる、友季のその反応に、



「あ、あの……トモくん……」



友季の胸を両手で押した舞が、真っ赤な顔をしたまま、蚊の鳴くような声で訴えた。



「……ごめん。生理現象だから、気にしないで」



そう言う友季の顔も赤く染まっていて。

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