第48話
「じゃあ、すぐ戻ってくるから、ゆっくり休んでて」
友季は舞の返事も待たずに、財布と車のキーだけを持って出かけてしまった。
ぽつんと残された舞は、
(トモくんって、こういうの慣れてる……?)
友季が過去に付き合った女性にも同じようにしてきたのかな、とか考えると、
「……っ」
何故だか胸が痛んだ気がした。
きっと、過去の女性経験があるから今の優しい友季がいるのだろうとは思う。
けれど、過去のこととはいえ他の女性の存在は、なるべく考えたくはない。
鈍いお腹の痛みに耐えながら唇を噛み締めていると、
「舞。お待たせ」
息を切らした友季が、茶色の紙袋を小脇に抱えて戻ってきた。
それをソファーの前のテーブルに置き、
「これ、飲む?」
そう言って舞の目の前に、舞がいつも飲んでいるロイヤルミルクティーのペットボトルを差し出した。
受け取ると、それはまだ温かくて。
「ありがと」
一口飲むと、体がじんわりと温まっていく気がした。
ほっと息をついている舞を、
「……辛い?」
すぐ隣に腰掛けた友季が、毛布ごと優しく抱き締めた。
あまり考えたくはないのに、やはり友季は女の子のこういう場面に慣れているように見える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます