第45話
店の閉店時間を無事に迎え、売り場担当のスタッフがレジ締めをしようとしているところに、
「あっ、待って下さい!」
昼間に落としたチョコチップクッキーと財布を持った舞が慌てて走ってきた。
「これ買いたいです!」
息を切らして言う舞の後ろに、
「あ、俺もこれ買うから」
小さなケーキ箱を持った友季が並んだ。
「シェフがお店で買うなんて珍しいですね」
スタッフが驚いて友季を見上げて、
「まぁな」
友季は適当な感じで頷く。
舞は厨房の片付けの途中で抜けて買いに来たので、自分の買い物が終わるとすぐに持ち場へ戻ったため、友季が何を買ったのか知ることは出来なかった。
無事に片付けも終えて、舞が私服に着替えると、
「舞。帰るぞ」
いつものように友季が待ち構えていた。
明日は店の定休日なので、舞はこのまま友季の部屋で泊まる約束をしていた。
それはいつものことなのだが、いつもと少し違うのは、友季が店のケーキ箱を手にしているということ。
「トモくん、何買ったの?」
友季が自分の店で買い物をするところを今まで見たことがなかった舞は、箱の中身が不思議で仕方がなかった。
「あぁ、これか? 舞にやる」
差し出された箱を開けてみると、
「あ……!」
舞が食べたがっていた、柚子のレアチーズケーキが一切れ入っていた。
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