第40話

この日は2人とも仕事がある。



自分の店だからと一番に出勤している友季の車に、舞も一緒に乗せてもらっての出勤となった。



開店に向けて準備を進めていると、続々と他の厨房メンバーが出勤してきて――



「えっ?」



友季と舞の顔を交互に見て、驚いた顔を見せる。



木村は無言のまま二度見どころか三度見くらいしていたが、上田に関しては露骨に眉間に皺を寄せて、



「昨日は全く元気がなかったのに、今日は随分と機嫌が良さそうですねぇ、シェフ?」



含みのある嫌味を言ってきた。



「……おはよう、上田さん。朝の挨拶忘れてるよ」



友季は気まずそうに上田にそう告げたが、



「やはり昨日は、途中でシェフを抜けさせて正解でしたね」



見事に無視された。



「上田さんが、シェフにそう指示されたんですか?」



舞は思わずそう訊ねていた。



昨日の朝、友季がどうやって仕事を抜けて舞の部屋に来たのか、気になっていたから。



「そうよ。丁度、トイレットペーパーの買い置きが切れてたから、コンビニかどっかで買ってきてってお願いしたの」



気を利かせたつもりなのだろうが、トイレットペーパーを買いに雇い主をパシらせるとは、なかなか出来ることではない。

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