第39話

「……分かったよ」



渋々ではあるが、友季はやっと舞を離してくれて――



後ろから顎を掴まれて友季の方を無理矢理に向かされて、



――ちゅっ



唇が軽く触れ合うだけのキスを交わした。



「おはよ、舞」



「……おはよ、トモくん」



ドキドキしすぎて、手にしていたお椀を落としそうになる。



……まだ中身を入れる前の、空の状態で良かったと思った。



お椀2つに味噌汁を入れて、刻んだ長ネギをトッピングしてテーブルに並べる。



エプロンを外してから席に着こうとして、



「あれ? 舞のパジャマ……」



友季が、舞のパジャマのボタンのかけ違いに気が付いた。



「……あ! 俺か、それ留めたの」



自分がミスをしたことにようやく気付き、



「ていうか、なんで直さないの?」



次に舞の顔を不思議そうに見つめた。



舞は、ふわりと幸せそうに微笑んで、友季を見つめ返す。



「トモくんの愛情を、もう少し噛み締めておきたくて」



「……は?」



舞が一体何の話をしているのか、友季にはまるで理解出来なかったが、



「まぁ、舞が嬉しそうなら、俺はそれでいいけど」



舞が笑顔でいてくれるのなら問題ないと判断した。

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