第34話

「トモくん……」



友季の言葉は口先だけではなかったのだと痛感して、舞は思わず涙ぐむ。



その涙に気が付いた友季は、



「えっ、泣いてんの!? ごめん、やっぱり嫌だった?」



これ以上ない程に慌てふためいた。



「途中から優しく出来なかったから……ごめんな、痛かったよな」



勘違いをしたままの友季は、舞をぎゅっと抱き寄せて、頭を優しく撫でてくれる。



「トモくんは……?」



舞が訊ねると、



「えっ?」



友季は不思議そうな顔で舞の顔を覗き込んだ。



「その……私として、トモくんはどうだったのかな、って……」



舞も恐る恐る友季の目を覗き込んで、



「……物凄く気持ち良くて、めちゃくちゃ幸せな気持ちになりました」



嘘をついても仕方がないと観念した友季は、正直に答えた。



友季の答えを聞いた舞は、ずっと腕枕をしてくれている彼の胸にそっと顔を埋める。



「それを聞いて、私もめちゃくちゃ幸せな気持ちになりました」



「……っ、なんでそんなに可愛いこと言うの」



友季は自分の胸にいる舞をぎゅっと強く抱き締め直した。



「……そんなこと言われたら、また襲いたくなるだろ」

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