第22話

「お姉ちゃん、彼女とかいるの?」



……彼氏じゃなくて、彼女?



「彼女は……いないよ」



舞は面食らいながらも素直に答えた。



「じゃあ、今日からお姉ちゃんは私の彼女ね!」




愛華のそんな言葉に、



「愛華? 愛華もこのお姉ちゃんも、2人とも女の子なんだぞ?」



友季は慌てて諭そうとしたが、



「人を好きになるのに性別なんて関係ないでしょ。友季ってば、遅れてるわね」



愛華はそんな一言で一蹴いっしゅうした。



「……」



目を大きく見開いて黙る友季を隣で見ていた舞は、



(イマドキの幼稚園児の恋愛観って、怖い……)



そんなことを考えていた。



「ねぇ」



ずっと黙って友季と舞の話を聞いていた初華が、不意に舞の目を真っ直ぐに見つめる。



「友季のヤツ、学生時代と比べて見た目が全然違うんだけど、過去の姿とかそういうの気にしないタイプ?」



興味津々な様子の初華の質問に、



「友季さんが高校生の頃に一度お会いしてますけど……」



舞は言葉を慎重に選びながら答えた。



それを聞いた瞬間、



「……もしかして、ランドセルの天使!?」



初華が驚いたような表情で、舞の顔を指差してきた。

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