第21話

「じゃあ、トモくんのキスの相手って……」



「うん。この姪っ子」



友季に頭を撫でられて、愛華は幸せそうに微笑む。



「友季、大好き〜」



「……」



相手が5歳児だろうと、それが友季の姪っ子だろうと、嫌なものは嫌だ。



そう思った舞は、自分の心の狭さに自己嫌悪して黙り込んだ。



「愛華には、隣のぶどう組に彼氏いるんだろ?」



舞の気持ちに気付いているのかいないのか、友季は不意にそんなことを言い出した。



ぶどう組というのは、どうやら幼稚園のクラスの名前のようだ。



「ソウタ君は私の未来のダンナさまだけど、今はまだ子供だから」



……イマドキの幼稚園児はマセている。



舞はそう思ったが、言えなかった。



「今一番カッコイイのは友季だから、私の今カレは友季ね!」



……イマドキの幼稚園児のマセ方って怖い。



舞はそう思ったが、やはり言えなかった。



「お姉ちゃんは、友季の何なの?」



愛華が、不意に舞のことを睨み付けてきた。



「えっ……えっと……」



友季に恋している女の子に向かって“私が友季の彼女だよ”なんて言えなくて悩んでいると、



「お姉ちゃん、すごくキレイ」



愛華が突然キラキラとした目で舞を見つめた。

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